はじめに

【アパレル業界】デザインシミュレーター×販売管理システム連携で業務をスムーズに

こんにちは、株式会社スプールのWebディレクターの高橋です。

アパレル業界では、近年の市場変化や多様化する顧客ニーズにより、受発注管理の在り方が大きく変革されています。

そこで、今回はデザインシミュレーターと販売管理システム連携による受発注管理の効率化についてまとました。

背景と業務上の課題

アパレル業界では、顧客ニーズの多様化に伴い、実店舗やECなど販売チャネルの多様化に伴い、サイズや色ごとにSKU(在庫管理単位)が細分化されます。

迅速かつ正確な情報連携が求められる中、従来の紙ベースやExcel、個別システムでの管理では情報の断絶やヒューマンエラーが頻発していました。

そこで、受注処理の効率化在庫・生産の最適化マルチチャネル対応を実現するための中枢システムとして、ERP(Enterprise Resource Planning)やOMS(Order Management System)などの販売管理システムが導入している企業が殆どです。

オーダー商品(カスタム製品)の受発注の課題

さらに、オーダー商品(カスタム製品)の受発注は、以下のような特有の課題を内包しています。

オーダー商品(カスタム製品)の受発注の課題
  • 受注プロセスの複雑化(複雑なカスタマイズ要件、受注フロー)
  • 少量生産・短納期対応の難しさ
  • デザイン確定後の変更リクエストとエラー
  • 見積もり作成と価格計算の手間
  • 生産計画・在庫管理との連携不足

こうした背景から、オーダー商品においても、各工程の情報をシームレスに統合し、受発注業務をデジタル化することが大きな課題となっています。

​デザインシミュレーターとは

デザインシミュレーターは、Web上でお客様が自分好みに衣服のデザインを作成・確認できるツールです。

3D CADのような高精度なシミュレーションが可能なものもありますが、最近では、Webでカスタムオーダー製品のデザインを試し、そのまま注文まで完結できるシステムが注目されています。

特にスポーツアパレルの主要ブランドでは、こうしたWebシミュレーターを導入して、お客様が自宅から手軽にカスタマイズを楽しめるようにしています。

販売管理システムとは

販売管理システムは、受注、出荷、在庫管理、売上計上など、販売に関する全ての業務を一元管理するためのシステムです。

ERP(基幹業務管理システム)やOMS(受注管理システム)などがこれに当たり、特にアパレル業界向けには、サイズ、カラー、在庫数などを細かく管理できる機能や、複数チャネルの在庫を統合管理できる機能が備わっています。

これにより、FAXやメールで手作業で行っていた注文入力が、Web受注システムを通じて自動化され、業務が大幅に効率化されます。

データ連携による受発注管理の最適化

デザインシミュレーターと販売管理システムを連携させることで、受発注業務のワークフローは飛躍的に最適化されます。

以下に主な改善ポイントを示します。

情報の自動連携と業務プロセスの効率化

デザイン情報のシームレスな転送、見積もり作成・価格計算の自動化

デザイン情報のシームレスな転送

顧客がデザインシミュレーター上で作成・確定したデザインデータを、API連携等で販売管理システムに自動転送。これにより、手入力による転記ミスや情報漏れが激減し、受注から生産指示までの工程が大幅に短縮されます。

見積もり作成・価格計算の自動化

選択されたデザインやカスタマイズ項目に基づき、システム側であらかじめ設定された価格ルールに従ってリアルタイムに金額が計算され、見積書が自動生成されます。これにより、従来の手作業での煩雑な計算作業が排除され、迅速な価格提示が可能となります。

顧客対応の迅速化

顧客対応の迅速化

デザインシミュレーターと受注システムが連携していることで、顧客からのオーダーへの対応速度も向上します。

顧客がカスタマイズオーダーを希望する場合、営業担当者はシミュレーターを使ってその場でデザイン案を提示し、在庫や価格も即座に試算できます。従来はデザイン確認→見積もり→在庫確認に時間がかかっていたプロセスが、統合システム上でワンストップ化するイメージです。

また、受注から生産までのステータスを一元管理しているため、問い合わせに対しても「現在の生産状況や出荷予定」を即答できるなど、サービスレベルの向上につながります。

結果として顧客との信頼関係も強化され、リピート受注や受注拡大の好循環を生むでしょう。

ワークフローの効率化

デザインから受注までの情報伝達がシームレスになります。

従来はデザイン決定後にスペックシートを作成し、それを元に販売管理システムへ商品登録・発注入力をしていました。この手作業の過程で生じるデータ重複入力や担当者間の受け渡しを、システム連携により自動化できます。

例えばデザインシミュレーター上で確定した仕様(サイズ展開やカラー、グラフィック配置など)をそのまま販売管理システムに取り込み、商品マスタや受注書を自動生成する仕組みです。

このようなデータ連携を行うことで、チーム間で情報が途切れなく流れ、部署間のコミュニケーションロスやデータ不整合が解消されます。

その結果、受発注に関わる事務作業が大幅に削減され、手入力ミスも防止されます。

在庫管理との統合

デザインと受注情報が連携することで、在庫・生産計画への反映がリアルタイムになります。

例えばシミュレーター上で選定した生地や付属品が在庫不足であれば、連携した販売管理システムから即座にアラートが出すなどの仕組みあると、早期に代替案を検討できます​。

同様に、受注が確定した時点で必要な素材やベース商品の在庫引当が自動で行われると、欠品や二重引当を防ぎます。

また生産管理システムとつなぐことで、受注データに基づいた製造スケジューリングもスムーズになります。

結果として、在庫適正化(必要なものを必要な時に手配し過剰在庫を持たない)とリードタイム短縮が実現し、受発注業務全体の流れが滞りなく最適化されます。

データの一元管理と可視化

両システムの連携により、製品マスタ情報や受注・在庫情報が統合され、単一のプラットフォーム上で管理されます。

これにより最新データが常に各部署で共有され、認識のズレがなくなります。

デザインから販売までデータが一元化されていることで、情報の正確性と一貫性が担保され、ヒューマンエラーの削減につながります​。

連携する上での注意点

デザインシミュレーターと販売管理システムの連携は、業務上のメリットが大きいですが、以下のような点に注意が必要です。

データフォーマットの統一

デザインシミュレーターは、画像データやカスタム設定(色、フォント、レイアウトなど)を複雑な形式で保持しているため、販売管理システムで利用しやすい形式へ変換する必要があります。仕様定義と変換ロジックが不十分だと、注文情報の誤認や生産工程に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です

リアルタイム性の確保

注文内容やデザイン変更が頻繁に行われる場合、両システム間でのデータ同期が遅れると、最新情報に基づいた受注処理が難しくなります。リアルタイムAPI連携など、即時性の高い仕組みの導入が求められます。

ブラックボックス化のリスク

独自開発の連携プログラムが特定の技術者に依存してしまうと、仕様変更やトラブル発生時の迅速な対応が困難になります。連携プロセスのドキュメント化や標準化されたミドルウェアの利用で、このリスクを低減することが重要です。

セキュリティとアクセス制御

顧客データや注文情報などの機密情報を連携するため、通信経路の暗号化やアクセス権限の厳格な管理が不可欠です。システム間の情報漏洩を防ぐため、セキュリティポリシーの整備が必要となります。

クラウドとオンプレミスの混在

連携対象のシステムがクラウドとオンプレミスで混在している場合、ネットワーク構成やセキュリティポリシーの違いから連携が複雑化しがちです。専用の連携基盤やゲートウェイを検討するなど、事前の対策が求められます。

最後に

弊社では、ユーザーの体感速度をあげるための工夫を取り入れた、カスタムオーダーシミュレーターやデザインシミュレーターの開発・構築を行っています。

オーダー製品のシミュレーターをご検討中の場合は、ぜひ一度ご相談ください。

▼ユニフォームに特化したカスタムオーダーシミュレーター
カスタムオーダーシミュレーター「MyCOS(マイコス)」

▼アイテムやグッズに特化したカスタムオーダーシミュレーター
カスタムオーダーシミュレーター「MyCOS GOODS(マイコスグッズ)」

▼3Dモデルを利用したカスタムオーダーシミュレーター
3Dシミュレーターシステム「MyCOS 3D(マイコススリーディー)」



Trending